2025年 成績




開幕戦 結果
開幕戦 審査員寸評
大輪貴史 様
演技や展開においては甲乙つけがたく、審査は難航いたしました。
そこで、判断基準のひとつである「テーマに沿っているかどうか」を主な得点の差といたしました。
その結果、黄に最も高い得点を付けました。
黄は、「ダンゴムシ」が強く印象に残りそうなところを、田井さんがこの学校のコンセプトを明確に示すことで、視点がテーマへと引き戻されました。
紫も素晴らしかったのですが、印象としては「ファン」よりも「スーパースター」のイメージが強く残ったと感じ、次点とさせていただきました。
河野桃子 様
▼全体について
開幕戦。これからどんな戦いがはじまるかわからないなか、それぞれが個人のカラーを打ち出しながらもチームメイトや物語を意識していて「ポテンシャルを持った手練れが集まった!」と感じる初日でした。
審査では3幕の構成力・チームメイトとの共演力を大事に採点しました。
個人的には4チームともかなりの接戦だったので、これから回を重ねて呼吸があっていくことで、どんなチームと舞台が育っていくのか楽しみです。
第三水曜即興舞台としても、テーマソング、映像、会場が新たになり、熱気と期待の渦に飲み込まれた2時間半でした。
毎回思うのですが今回もまた、今年がもっとも芝居らしく、もっとも即興らしく、もっとも安心感があるのに予測できないワクワクを感じています。初日開幕おめでとうございます!
▼チーム個別(上演順)
紅ローゼス「空も飛べる」
チームメイトをよく見て感じているチームだなと思いました。これは強いです……!1幕も2幕も、相手の様子を気にしながらもそれぞれから物語を進めようとする意欲も感じられました。
3幕は総勢8名が出ても、誰かの反応をきちんと拾おうとする姿勢があったことでしっかりと芝居になっていく。
キャラクターとしても役割としても分担しながら、相手の展開を受け入れていく……これが監督の大胆な構成とどう相乗効果を見せていくのかで、作品のクオリティが爆上がりしそうです。
今回は「飛べる」という言葉の意味がいくつか重なっていて作品として重厚感がうまれそうなところだったので、3幕の構成またはラストがぎゅっとすると完成度が爆上がりすると思いました。
回を重ねてメンバーの特徴や距離感がわかってくると、いったいどこまで強くなるんだろうなとちょっと怖いくらいです。
いちばんポテンシャルを秘めているチームだと思います!
黄々麒麟「学校」
まず設定の威力!独特な世界観でしたが安心して浸ることができたのは、会話そのものが魅力的だったかじゃないかなと思います。
とはいえまさかのコン中学校。
この「どうなるかわからない感」は即興の魅力でもあり、まさかのダンゴムシを身体で持ってきた八幡さん、それを受け入れ発展させていく西さん、ファーブル学校という具体的な名前を与えて世界観に立体的な説得力を持たせていく田井さんらが作った1幕。
それを受けて、上級生チームが学校の空気を作った2幕はものすごいチーム戦でした。
2幕で安定した作品と世界観は、なんとまさか3幕で全員が小学生の年齢ではないことで世界観がひっくり返されるホラー展開まで。
その間、ずっとひとりだけ現実と昆虫世界を繋ぐ矢内さんの存在が芝居的に貴重でした。
物語をぐっと固めるのが得意な方が何名かいるので、チームワークができてくるとしっかりとオチもつけられるのじゃないかと期待です。
今夜忘れられない個人的MVP作品でした!
パーポーシキブ「ファン」
初回だったということもあるのでしょうけれど、まずは出演者1人から展開していく1幕、ファンという存在を若者3人だけでパワフルに説得力を持たせて信じさせていく2幕、そして3人のおじさんの個性が違っていて見ているこちらが3人のファンになってしまいそうな3幕。
この3幕ごとの変化や幕ごとのメリハリは、変化にドキドキするし、飽きさせない。
出演者の采配や構成力によるクオリティの高さは、それ自体がなんと、2025年のパーポーシキブの物語の序章のようで……そのスケールの大きさにガッと心を捕まれました。器がでかい!
1人で3分つとめた萩原さんはもちろん、芝居が推進していく3幕や、バラバラの1・2幕がぐっと凝縮していく3幕は、相手に反応しながら素直に表現する出演者のみなさんの力でした。
それぞれの魅力と強みを監督が知るほどに個々が爆発していく予感を感じてめちゃくちゃ期待が刺激されています。
今期、もっともドラマチックなチームでは!
グリーンガッチャピンズ「株主」
お題はたしかに難しかった…!!もう少し時間があれば、パン屋の株主になるとかなにかオチがつけられただろうことが残念です。
が、開幕戦を見て、既存メンバーと新規メンバーの融合がすごく楽しみになりました。
たとえばクリームパンなど富田さんの小ネタを柳木さんが受け入れ芝居にし、さらに富田さんがそれを一過性のネタで終わらせずに発展していく様子が面白かったです。
とはいえ二人だけでは世界が狭くなってしまうところを、今安さんや村田さんの台詞は具体的だったりとイメージしやすく物語に幅を持たせ、平岡さんやムラコさんの瞬発力には安心感があり、さらに西野さんのダークホース感がこのチームになにをもたらすのかワクワクします!
澤田さんがGMとして舞台を広く見ているので、そこに出演者たちの個性がどうあらわれてくるかで、安定しながら爆発するグリーンガッチャピンズが見れそう。実はもっとも予想外な成長をしそうなチームかも…!