2025年 成績
最終戦 結果
最終戦 審査員寸評
大輪貴史 様
チームの得点はいずれも甲乙つけがたく、個人的にも大きな点差はつけませんでした。
そのなかで、テーマの消化度はもちろん、第1幕のワクワク感、第3幕での「必要な(元カレの)キャストが足りない」という問題をオンラインというアイデアで見事に解決した紫に最も多く得点をつけました。
個人ポイントについては、あらゆる無茶振りに応えきった緑の柳木さんと、物語の軸を演技でしっかりと構築した紫の林さんに高得点を付けました。
第5戦 結果
第5戦 審査員寸評
大輪貴史 様
今回は、テーマに沿って展開していた紅ローゼスと黄々麒麟に、やや多くの得点を付けました。どのチームも高いレベルで楽しませてくれる一方、テーマの消化に少し苦労していた印象です。
単語だけでなく物語の主軸にテーマを据えられると、次回の最終戦ではさらに高得点を狙えるのではないでしょうか。
個人のポイントは、第5戦目にしてキャラを大きく爆発させた紫の丸山さんと、コメディータッチでありながら老人らしいところは老人らしく演じきった紅ローゼスの沢柳さんに多く割り振りました。
山下浩司 様
物語の軸を決める、「スター」が生まれたどうかが勝敗を決した印象です。
常勝軍団というイメージがあったグリーンガッチャピンズは客席の期待やトップバッターというハードルを超えられなかったのかなと思います。終盤まで探り合いが続いてしまったような気がしました。
紅ローゼスは絶対的なスキルをもつマイキーさんがその見た目を逆手に取った女の子を演じることで世界観を作り、沢柳さんが軸を作りました。最後は女の子2人(※おじさん2人)が抱き合うという美しい結末。
マイキーさんが冒頭で客席に語りかけた「想像力を働かせてほしい」という言葉を最後まで貫く形になりました。
黄々麒麟は宇宙人同士の結婚のお話でしたが、八幡さんが相手の宇宙人とは違う特徴を表現したことで、異星間の結婚という展開を生み出しました。
パーポーシキブは即興劇に似つかわしくない、寅さんのような見事な口上でスタートした丸山さんが物語の世界観を作りました。流暢すぎて爆笑を生み出す技術は単純にすごい!どこかで見たことがある安心感のある世界観の中で、全く予想していない角度からの大部さんのひと言はさらに笑いの爆発を生み出しました。
終始感じたのは丸山さんによる、シンプルなのに破壊力のあるフリと回収。久保田さんの出オチや楠城さんのひと言も際立たせていました。MOMが丸山さんなのは納得です!
三宅勝正 様
この度初めて第三水曜即興舞台の第5戦目を観劇して、「即興劇」の持つ奥深さと難しさを感じました。どのチームも高い力量を備えており、オンライン上では味わえない生舞台の迫力!瞬発力や物語を生み出す力には大いに魅了されました。同時に、ランダムに選ばれたお題をどう物語に落とし込むか?という課題に、それぞれのチームが楽しみながらも真剣に挑む姿に感銘を受けました。
特に印象に残ったのは、舞台を牽引する力の源となるメインキャラクターの存在の有無が、勝敗や舞台全体の完成度を大きく左右していた点です。起承転結を9分間でどのようにまとめられるのか?見ているこちらも緊張しました。
パーポーシキブでは丸山さんが口上で一気に世界観を切り拓き、その後のメンバーの発言が次々と意外性を生み、笑いと破壊力のある掛け合いの連鎖が会場を揺らしました。まさに即興の醍醐味を体現する瞬間であり、「誰が主役か」を超えてチーム全体で各々のスター性が光っていたように思います。
紅ローゼスは沢柳さんとマイキーさんの掛け合いが絶妙で、特に老人らしさを演じ切った沢柳さんと、見た目を逆手にとったマイキーさんの女の子役が舞台を盛り上げ支えました。最後に女の子2人(実際は中年のおじさん2人)が抱き合うという美しい結末は、観客の心に鮮やかな余韻を残しました。テーマを笑いだけで終わらせず、物語として持ち時間内に収束させた点が高く評価されたのも納得です!
黄々麒麟は「宇宙人同士の結婚」という題材を取り上げながら、八幡さんが他の宇宙人と差別化された特徴を示したことで、物語にしっかりとした軸を与えていました。現実離れしたテーマでありながら、不思議と観客が感情移入できる構造を作り上げた点が見事でした!チームワークも素晴らしく、どなたも経験値豊かな印象でベテランの貫禄!シンキングタイムが短いことに驚きました!
一方、グリーンガッチャピンズは「歴戦の常勝チーム」としての期待が大きかった分、そのハードルを超えるだけの勢いや展開にまで至らなかった印象があります。トップバッターという難しい立場もあったと思いますが、夢なら醒めるなというお題の難解さに加えて、観客が抱く「次はどう来るのか?」という期待を完全に凌駕する瞬間は生まれにくかったように思います。
この度の観劇を通して感じたのは、即興劇においては単にテーマを消化するだけでなく、誰が物語の舵取り役となり、いかにチームを導くかが重要だということです。第5戦はまさにその「スター性」の有無が勝敗を分け、また観客の記憶に残る舞台を形作ったのだと強く感じました。即興だからこその不完全さと瞬間の発想力、その両方が堪能できる第5戦を体感して次戦への期待をいっそう高めてくれる舞台でした。演者個人の配点は、この度の舞台を引っ張ってくれた方、また活躍を見たい、魅せて欲しい!と思える方に大きく配分しました。
演者の皆様、お客様、スポンサー様、静先生、関係者の皆様、この度はお招きいただき寔にありがとうございました。また是非ご一緒させてください。皆様の益々の御活躍を祈念申し上げます。弥栄!
第4戦 結果
第4戦 審査員寸評
大輪貴史 様
今回のチーム得点は「接戦」とのことでしたが、自分の得点配分も同様の結果となりました。
そのなかで僅差ではありますが、特にテーマをわかりやすく表現していたグリーンガッチャピンズと紅ローゼスに少しだけ多くポイントを割り振りました。
個人のポイントについては、まるで示し合わせたかのように絶妙なタイミングで椅子を前に出し「中の人」を演じた紫の久保田さん、そして第2幕・第3幕を飽きさせることなく場を支え続けた平岡さんに多くを配分しました。
泉秀樹 様
今回は4チームともに監督の采配がスリリングでした。
特にパーポーシキブ、紅ローゼスの2場と3場における展開と回収は【3分間✖️3場】での臨場感や【合計45秒間の作戦会議】というタイトな制約の中でのゲーム性が見れて面白かった。
プレイヤーも、迅速に状況と役柄の提示、進行しながら情報を掃除していき場の進路を模索する様子の、ゲーム性の高さと臨場感を楽しみました。
3分間が絶妙。途中で失速すれば長いし、何かを起こすには時間が迫ってくる。
各プレイヤーの個人的感想は、
紅のマイキーさんの空間展開能力と無駄のない笑いの挟み方、役柄状況の見える演技への信頼感!
栗本さんの的確な提示を受けきれない若手、それも面白かった。笑
パーポーシキブの林さんの推進力と時間管理能力!
パーポーシキブはメンバーの個人能力が高い!
緑は展開に今回は少々物足りなさを感じてしまったものの、場を持たせて期待を継続させるだけの華がある。
チームに華あるなぁって思ってしまう。
黄々麒麟はとにかくプレイヤーの面子がいい。
面子がいいが木村監督が面子を信頼しすぎている。笑
第3戦 結果
第3戦 審査員寸評
大輪貴史 様
配役・演技・展開において、今回は紅が圧倒的だったと感じました。
テーマに対しても、クジ運の要素はあるにせよ、紅ローゼスはテーマ自体を「場」にしていたので自然に高い密度で示せていました。
個人のポイントは、あの状況でフリーハグを出してきて違和感を生み出し、さらにそのことで物語を動かすきっかけを作った紅ローゼスの舞園さんと、「ひとりだけ霊が見えない」という一瞬たりとも油断できない状況をやりきった緑の柳木さんに多く割り振りました。
高原俊二 様
今回は各チームの監督意図が随所に見られ、どのチームも甲乙つけ難く楽しませて頂きました!
個人的には、黄々麒麟の《独創的な感性》に今後の大いなる活躍を期待しています!
皆さん、後半戦も頑張ってください!
AiRyA 様
審査員ははじめての経験でとても緊張しましたが、参加できて本当に楽しかったです!
みなさんとてもおもしろくて審査がすっごく難しかった!
アドリブの瞬発力と演技力に感動しきりでした!また次も見たくなりました!!!
第2戦 結果
第2戦 審査員寸評
大輪貴史 様
チームへのポイントは、テーマをしっかり前面に押し出しながら物語をテンポ良く展開させた紅ローゼスに高得点を付けました。
なかでも第2幕の、仲が良さそうで少し間抜けな3人のやり取りはとても楽しい時間でした。
個人のポイントは、状況を説明的な台詞ではなくしっかり演技で見せてくれたパーポーシキブの新井さんと、「マスク剥ぎ」や「わかるよって人」などで停滞しかけた空気を何度も一変させたグリーンガッチャピンズの柳木さんに多く割り振りました。
三遊亭楽麻呂 様
上の者にというセリフを受けて、咄嗟にうえの ものという人物になった柳ガリさんに座布団10枚!超圧巻でした。
水谷健吾 様
即興で物語をつくり、その場で演じる。そのこと自体が僕からすれば超人的で職人技であり、4チーム全てが本当に素晴らしいと思いました!
その上で、作品に一気に入り込めた瞬間を思い出してみると、物語がどこに向かっているのかが理解できていた時でした。
グリーンガッチャピンズの「変な名探偵が次々に出てくる」という流れや、紫の「年齢差のあるカップル」の設定は、誰が変な人で誰がまともな人か分かりやすく、そのシーンに出ていた役者さんも自分のなすべき事に自信をもって演じていたように思います。
ドラマ性という点ではパーポーシキブと黄々麒麟が印象的でした。
「お母さんが離婚している」「引きこもっている少女」など、欠けているものが既に設定に組み込まれており、何をすればドラマチックになるのか明示されているのが上手いなーと。
ただ、そういった理屈抜きで繋がりそうのない話が最後にバチっと収束した紅ローゼスにも痺れました。インプロの醍醐味を存分に体験できた気がしています。
総じて、どのチームも本当に素晴らしかったです。ありがとうございました!
開幕戦 結果
開幕戦 審査員寸評
大輪貴史 様
演技や展開においては甲乙つけがたく、審査は難航いたしました。
そこで、判断基準のひとつである「テーマに沿っているかどうか」を主な得点の差といたしました。
その結果、黄々麒麟に最も高い得点を付けました。
黄々麒麟は、「ダンゴムシ」が強く印象に残りそうなところを、田井さんがこの学校のコンセプトを明確に示すことで、視点がテーマへと引き戻されました。
パーポーシキブも素晴らしかったのですが、印象としては「ファン」よりも「スーパースター」のイメージが強く残ったと感じ、次点とさせていただきました。
河野桃子 様
▼全体について
開幕戦。これからどんな戦いがはじまるかわからないなか、それぞれが個人のカラーを打ち出しながらもチームメイトや物語を意識していて「ポテンシャルを持った手練れが集まった!」と感じる初日でした。
審査では3幕の構成力・チームメイトとの共演力を大事に採点しました。
個人的には4チームともかなりの接戦だったので、これから回を重ねて呼吸があっていくことで、どんなチームと舞台が育っていくのか楽しみです。
第三水曜即興舞台としても、テーマソング、映像、会場が新たになり、熱気と期待の渦に飲み込まれた2時間半でした。
毎回思うのですが今回もまた、今年がもっとも芝居らしく、もっとも即興らしく、もっとも安心感があるのに予測できないワクワクを感じています。初日開幕おめでとうございます!
▼チーム個別(上演順)
紅ローゼス「空も飛べる」
チームメイトをよく見て感じているチームだなと思いました。これは強いです……!1幕も2幕も、相手の様子を気にしながらもそれぞれから物語を進めようとする意欲も感じられました。
3幕は総勢8名が出ても、誰かの反応をきちんと拾おうとする姿勢があったことでしっかりと芝居になっていく。
キャラクターとしても役割としても分担しながら、相手の展開を受け入れていく……これが監督の大胆な構成とどう相乗効果を見せていくのかで、作品のクオリティが爆上がりしそうです。
今回は「飛べる」という言葉の意味がいくつか重なっていて作品として重厚感がうまれそうなところだったので、3幕の構成またはラストがぎゅっとすると完成度が爆上がりすると思いました。
回を重ねてメンバーの特徴や距離感がわかってくると、いったいどこまで強くなるんだろうなとちょっと怖いくらいです。
いちばんポテンシャルを秘めているチームだと思います!
黄々麒麟「学校」
まず設定の威力!独特な世界観でしたが安心して浸ることができたのは、会話そのものが魅力的だったかじゃないかなと思います。
とはいえまさかのコン中学校。
この「どうなるかわからない感」は即興の魅力でもあり、まさかのダンゴムシを身体で持ってきた八幡さん、それを受け入れ発展させていく西さん、ファーブル学校という具体的な名前を与えて世界観に立体的な説得力を持たせていく田井さんらが作った1幕。
それを受けて、上級生チームが学校の空気を作った2幕はものすごいチーム戦でした。
2幕で安定した作品と世界観は、なんとまさか3幕で全員が小学生の年齢ではないことで世界観がひっくり返されるホラー展開まで。
その間、ずっとひとりだけ現実と昆虫世界を繋ぐ矢内さんの存在が芝居的に貴重でした。
物語をぐっと固めるのが得意な方が何名かいるので、チームワークができてくるとしっかりとオチもつけられるのじゃないかと期待です。
今夜忘れられない個人的MVP作品でした!
パーポーシキブ「ファン」
初回だったということもあるのでしょうけれど、まずは出演者1人から展開していく1幕、ファンという存在を若者3人だけでパワフルに説得力を持たせて信じさせていく2幕、そして3人のおじさんの個性が違っていて見ているこちらが3人のファンになってしまいそうな3幕。
この3幕ごとの変化や幕ごとのメリハリは、変化にドキドキするし、飽きさせない。
出演者の采配や構成力によるクオリティの高さは、それ自体がなんと、2025年のパーポーシキブの物語の序章のようで……そのスケールの大きさにガッと心を捕まれました。器がでかい!
1人で3分つとめた萩原さんはもちろん、芝居が推進していく3幕や、バラバラの1・2幕がぐっと凝縮していく3幕は、相手に反応しながら素直に表現する出演者のみなさんの力でした。
それぞれの魅力と強みを監督が知るほどに個々が爆発していく予感を感じてめちゃくちゃ期待が刺激されています。
今期、もっともドラマチックなチームでは!
グリーンガッチャピンズ「株主」
お題はたしかに難しかった…!!もう少し時間があれば、パン屋の株主になるとかなにかオチがつけられただろうことが残念です。
が、開幕戦を見て、既存メンバーと新規メンバーの融合がすごく楽しみになりました。
たとえばクリームパンなど富田さんの小ネタを柳木さんが受け入れ芝居にし、さらに富田さんがそれを一過性のネタで終わらせずに発展していく様子が面白かったです。
とはいえ二人だけでは世界が狭くなってしまうところを、今安さんや村田さんの台詞は具体的だったりとイメージしやすく物語に幅を持たせ、平岡さんやムラコさんの瞬発力には安心感があり、さらに西野さんのダークホース感がこのチームになにをもたらすのかワクワクします!
澤田さんがGMとして舞台を広く見ているので、そこに出演者たちの個性がどうあらわれてくるかで、安定しながら爆発するグリーンガッチャピンズが見れそう。実はもっとも予想外な成長をしそうなチームかも…!
照屋秀吾 様
1. 紅ローゼス「空も飛べる」
EP1とEP2で出演者とストーリーを変え、二軸で展開。大作を思わせる導入でこれがどう結ぶのだろうと期待感を掻き立てました。そしてEP3で漫画の中の世界ということで、それが一気にファンタジーの世界へ。こう繋がるんだという安心感が全体としてとても良い構成。監督の腕を感じました。個々フワっとしていたところがあるので(特にテーマの空も飛べるという落としどころ)、それはチームワーク=空気を読む力は今後に期待します。
2. 黄々麒麟「学校」
導入が定まっていないのか(幼稚園なの?小学校なの?と考えていたらファーブル小学校だったり、勝負に勝ったら上級?かと思ったら負けたら??とか)感情移入が難しい作りでした。最後はホラーだったので、頭はそれに繋がるよう分かりやすく、そうでなければミステリアスに分からずなのかハッキリどちらかに振るともっと見やすくなると思いました。個々では演技がうまい役者さんが多かったので、劇場の作りで低空戦では勿体ありません。是非空間を使ったパフォーマンスを心がけてみてください。
3. パーポーシキブ「ファン」
なんと、一人芝居からのスタート。それもテーマであるファン側ではなくスーパースター表側の役。それだけで客の視点を集め集中力を高めることに成功。先ずはこの仕掛けを作っただけでも凄いと言えます。その後EP2でファン側、そしてEP3で結末を迎えますが、これまたスーパースター役である萩原以外全員出る人が違うという。萩原がカットインしてエンディングに向かうところと良いストーリー構成で共に文句なしです。
4. グリーンガッチャピンズ「株主」
私は構成のことばかり言っていますが、こちらも株を買い占める怪しいバンカー(EP1)と悪の組織(EP2)と分かりやすくスタート。EP3で悪と思っていたら~とラスト続きが見たくなるような、結末に。こう思わせることも一つの楽しみ方です。このチームも個々の力が強いので、今回活躍せずとも今後どう使っていくか次第で逆転もありうるなと思います。